
生後半年でなんの疑いもなく妹に連れられてやって来たトイプードルの鈴(れい)。それから7年が経ち、今もなんの疑いもなくそのキョトンとした黒い目で、気付くといつもジッとこちらを見ています。
散歩が大好きで、特に好きな場所はなく、とにかくいくらでも歩きます。途中でよそのワンちゃんに出会うと、ものすごい勢いでグイグイ近寄るのでたいてい嫌われます。ワンちゃんだけでなく、一緒にいる飼い主さんも大好きで、すぐにとびかかります。警戒してうんと吠えられてもまるでお構いなしで、対抗して吠えたりすることはありませんが、余りにも積極的で驚かせてしまうので、前方にワンちゃんを発見すると急いでコースを変えます。
散歩から戻るとすぐにご飯を食べます。
人間と同じものはあげないようにしています。
とくに何も出来ませんが、いちおう『待て』というと待ちます。
カットのせいでお尻なのか頭なのかよく分かりませんが、水を飲んでいます。
何故か周りで物音がするとやめてしまうので、水を飲み始めたらわたしたちは息をひそめます。
トリミングのお店をやっている妹といつも一緒なので、休日のお留守番は、夕方になると玄関だけを見て何時間でも待ちます。
いつ帰るかも分からないというのに暗くなると必ずこうしていつまでも。
あんまりずっと待っているので気の毒なくらいです。
ちょっと物音がするとすぐに顔を上げて玄関に走り寄るのですが、ただの勘違いだったりして、それでも待ちます。
何かお土産がある訳でもないというのに。
勘違いの後、とくにガッカリするでもなく、すぐに気持ちを切り替えてまた、待ち続けます。
この切り替えの早さは見習いたいほどです。
そして、ここまで全身でなんの照れもなく、一心に大好きですという気持ちを人目を気にせず表せることに驚くと共に羨ましいとさえ感じます。
妹が帰って来ると、絵に描いたように大喜びをしてもうすっかりボロボロになっているおもちゃを引っ張り出して、ひとしきり大暴れします。
とくにひも状になっているものが好きなようで、それをバラバラにほぐす為にじっくり丹念にかじっています。
何がそんなに楽しいのか不思議なくらいに。
妹は別の場所に暮らしているので、このカバンで自転車のカゴに入って帰ります。カバンに入って暫く放っておかれても、ジッとこのままで待っています。
一年通してこのカバンなので、冬などは寒いのかも知れませんが、文句を言うことなくおとなしく入ります。
このなんの疑いもなく、自分が愛されているかどうかなんてどうでもよく、こちらをひたすら信じる姿を見ると、こうでありたい と感じます。
初めはただ可愛いとしか思いませんでしたが、常に変わらぬこの姿には大げさなようですが心を打たれます。
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